◆ はじめに
人は期待されることで、意識的又は無意識的に期待に応えようとする心理特性を持っています。これをピグマリオン効果といいます。
◆ ピグマリオン効果とは
ピグマリオン効果とは、指導者が学習者に対して期待を持って接することによって、学習者も期待に応えようとして成績があがる現象をいいます。アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールによって提唱された教育心理学における心理的行動のひとつで別名「教育期待効果」または「ローゼンタール効果」とも呼ばれています。
◆ 期待をかける
ピグマリオン効果についての実験では、教師が期待をかけた生徒とそうでない生徒では成績の伸びに明らかな違いが見られました。このことから、他者への期待値がその後の成長を決定づける大きな要因のひとつになると考えられています。
これは、適度な期待が相手のやる気を引き出し、その結果として期待に応える成果を上げることを示唆しています。教育だけでなく、ビジネスでの人材育成やマネジメントに活用することで効果を期待できます。
◆ 主な活用例
最も簡単な活用例としては、部下や仲間などに「期待」を込めた声掛けをすることが挙げられます。すなわち、「褒める」ことです。もちろん、間違っている部分を指摘したり、注意することは大切です。しかし、同時に「褒める」ことも忘れてはいけません。「叱るだけ」では望んでいる結果と真逆の結果を生んでしまう可能性があります。そうではなく、部下や仲間へ適切な形で「期待」をかけるために「叱り」と「褒める」のバランスが重要になります。バランスを保つことで、部下や仲間の能力を最大限引き出すことが可能になるでしょう。
仕事でミスや失敗をした部下に対して「今回は失敗してしまったけど、仕事に対する成果は評価しているよ。次回は今回のことを踏まえて成果を出していこう」とフォローすると良いですね。
◆ おわりに
ピグマリオン効果をはじめ他人の心理に何が影響を与えるかという事に関して、はっきりとした答えはでていませんが、経験と実証の積み重ねから概ね良い効果が出ておりますので、社内の部下や後輩等が気持ちよく仕事をすることができような環境づくりがしっかりとできるように心がけていきたいですね。